8年前のカレー

不思議な靴屋さんがある。そこにはいると、まず炭酸水が出され、足のサイズを測られる。

そして、どこからともなくひとつめの革靴がでてくる。

少し違いますね、と双方なっとくする。

そして別の革靴をはく。

少し小さいですね。

そしてひとつ大きなサイズをはく。

どうでしょう?

これですね。

もう一つ上のサイズはありますか?

いえ、これ以外は履いてもしょうがないと思います。

たしかに。

これ以外はあり得ない感じだ。

今日はわざわざ、これを買うために目が覚め、遠路はるばるやってきたに違いない。

という具合に、店に入ると、かならずこのしっくり体験がなされるのだ。

買わないときは店の中に入ることがなんとなくできないし、入ったら買ってしまうのだ。

その一瞬のスポッ、体験のみを常に追い求めいる人がいたに違いない。

8年前に大手町で食べたカレーの味が忘れられないことを忘れていても、ふとドバイでそのカレーに出会ってしまい、

このカレーにずっと呼ばれていたのか、と妙に納得してしまう感じである。

厳密にはイカとラムの違いはあり、全然違うのだが、輪郭と手触りは同じなのだ。