ソフトタッチ

その人はどこかいつも寂しそうであった。

寂しそうな状態がむしろ楽しそうであった。

まるで自分の筋肉のあちこちとつねに対話しているかのように、自分の世界で完結した感覚を楽しんでいるのであった。

山の頂上に登れば登るほど、繊細さが増す。大胆に見えるその行動の根源は果てしないまでの繊細さである。

その力はあまりにも弱く、しかし果てしなく強い。

存在そのもので語る。

未来を語るのではなく、過去を語るのではなく、現実に潜む小さなつながりを語る。

技術や技能を極めたさきは流れて行くものなのだ。