プレーン

バターもジャムもついてないパンをもくもくと食べる人にであった。

いつからかパンの耳を残し、ピザのみみも残すようになってしまった自分にとっては全く違う趣味嗜好を持つ人のように見えた。

彼はなにを楽しみに、ただひたすらパンだけをもくもくと食べるのか、不思議だった。

しかし、なぜか懐かしさを感じた。

ある日、試しにパンを食べてみた。

あまり美味しく感じなかった。

またある日、ピザのみみを食べようと試みた。

無理に完食するより、その残念さを心に刻むためにあえて残し続けた。

そもそも、出された食べ物はすべて食べ尽くすのが小さい頃の自分だったように思える。

いつからパンの耳が嫌いになってしまったのか。

そんなことを考えながらコーヒーの香りを嗅いでいた。

ぐっすり眠った。

そして、ある日パンをもくもくと食べられるようになっていた。

小麦の香りがただよった。

なにもつけていないからこそ、薄味だからこそ、時と場合によっていろいろな姿をみせるという楽しさに酔いしれているのかもしれない。