初期値鋭敏性

コーヒーを飲むときの香りは、いままでに味わったことのないはじめての匂いであった。

トマトとチーズとツナとパンのサンドイッチは、トマトとチーズとツナとパンのサンドイッチではなかった。

もう一度眺めたコーヒーの水面は黒光りしていたが、黒光りではなかった。

世界は捉えられない。

反対概念を使いこなしたとき、それはないかのように存在する。

ただ欲するとき、いや、欲するとも意せず、動いている現象を後から観測するとき。

たった一滴が、望みを叶えると知ったとき、カオスとの戯れが始まる。

いちかばちかのあらたな世界に迷い込む。