わが名は

わたしの存在を証明するものはなんなのか

住所、氏名、生年月日はその人を証明するのだろうか。

パスポートの自分は、もう自分ではない。

昨日の自分と今日の自分の体の分子構成はまったく違うもののはずだ。それを人は同じ名で呼ぶ

あなたとわたしが思っている記憶の中の彼は、同じ彼ではない。

彼を描いてみよと、描かれた彼は全く違う彼なのではないか。

むしろ、まったく描けないのではないか。

お互いにわかりあったような錯覚に陥り、その場をやり過ごす。

わたしが飲んでいる目の前の水は、本当に水なのか?水とは一体なんなのか?

誰一人として、目の前の砂つぶ一つすらの存在も表現することができない。

わたしのことはわたしすら知らない。

名付けた言葉は名付けた瞬間に、その存在がぬるっとしたニジマスのようにすり抜けていってしまう。

いまここにあるものはいまここにはないはずだ。

体は、地球は、宇宙は常に動いている。

わたしが存在することを、わたしはどのように証明できるのか。

名はそのことを証明しない。

それを解決できる言葉はない。