野生のたしなみ

ハイハイから進化したばかりの幼児の立ち姿はカッコいい。

ひとことで言えば野生。

まるでこれまで四足歩行していた猿が初めて後ろ足で立ったかのような、喜びを身にまとった姿だ。

堂々と直立しているように見えてその体は揺れ動いている。

常に地球と対話するかのように、呼吸に合わせて頭や体が揺れ動く。

どこにも軸がないみたいに、バランスをとりつづける喜びに浸っている。

その肩甲骨と仙骨は水のようにゆるゆるだ。

水平線を三半規管でとらえ、立っていても、座っていても、動きが止まることはない。

体は星のようにぐるぐるまわりながら安定して、球のようなたたずまいだ。

時空において同じ時が一瞬でも存在しないことを彼らは知っている。全く同じに見える物体が別のものだと知っている彼らは、モノとのコミュニケーションに浸っている。

地上を泳ぐ彼らは素粒子が揺れ動いていること、未来も過去も繋がっていることを知っている。

自然と宇宙と語り合うかのように常に共振し、空気の重さを感じ、あまたの星の導きを感じながらも地球の動きに寄り添い、自転と公転と宇宙空間の大移動を楽しむのが、野生のたしなみだ。