虫のしらせ

銀座通りの道路わきの花壇に、鳥のおきものが置いてあった。

 

こんなところに誰が忘れていったんだ?と近づくと、

 

それは置物ではなく、本物の鳥だった。

 

色はすずめよりもは黄緑色で、すずめに似ているが、うぐいすのようにも思える。

 

弱った鳥は羽を落として肩で息をする。

 

その黄緑の鳥はそんな状態だった。

 

手で触れるくらい近寄っても飛び立つ気配を見せない。

 

まるで重要ななにかを考え込んでいるようにもみえた。

 

羽がだらんと下がり、弱ってはいるものの、その鳥には人をひきつける不思議な魅力がある。

肩で息をしているということは、呼吸器の機能が下がっているのだろう。

鳥が亡くなる前の前兆だ。

その羽は泥で汚れていたが、泥の奥には自慢の色鮮やかな黄色と緑のグラデーションが潜んでいるのがよくわかった。

とてつもなく大きな隠しごとをしているようにもみえる。

自分だけが見つけた群青色の空を誇らしげに噛みしめているのだろうか。

 

どのくらいの時間が過ぎたかわからないが、

ふと、最後の力を振り絞るかのように鳥が羽ばたいた。

 

小さい体でバサッと、びっくりするような大きな音を立てて、オイルの足りない歯車のようにぎこちなく羽を動かした。

あまりに弱い羽ばたきなので、電柱ほども飛べず、

ガードレールの高さが精一杯だが、

近くに生い茂る低い木に身を潜めた。

 

 

まるで生まれたてのとき、親鳥が作ってくれた暖かい巣を思い出しているかのように、

遠くを見つめながら、歌うでもなく、毛づくろいするでもなく、

弱った体で、最後の時間で陰にひそみ、じっと、なにか大切なことをしているようにみえた。

 

それは自分の体の中にあるのか、外にあるのか、はたまた遠いどこかにあるのか。

ふかふかの羽毛に首をうずめて、自分だけしかしらない命の伝言をさぐりあて、味わっているかのようであった。

思わせぶりに、ただじっと木の中でなにかに想いを巡らせているのであった。